今年逝ってしまった漫画家たちへのレクイエム
歳を取ると1年はあっという間に過ぎ去りますね。 今年も残すところあとわずか…
2021年も子供の頃に愛読していた漫画家達の訃報が相次ぎました。
巨匠と呼ばれた方たちも次々と鬼籍に入ってしまい、新作に触れる事も出来なくなり寂しい限りです。
今回は今年亡くなられた漫画家達の過去の作品の中から、女性のサディズムやfemdomに関連した作品や僕のマゾヒズムに刺さったシーン等を紹介してみたいと思います。
■みなもと太郎
代表作としては江戸から幕末にかけての群像を描いた「風雲児たち」が有名ですが、かつて少年マガジンに連載されていた「ホモホモセブン」は衝撃的でした。
ホモホモブロックとレスレスブロックの壮絶なる戦い。 当時小学 生だった僕にとって、これらが同性愛者を指す言葉だと知ったのはこの漫画が最初でした。
男性同士、女性同士が秘密諜報機関を組織し、お互いを壊滅させようと愛憎と死闘を繰り広げるストーリー展開が受けたのは、ウーマンパワーの台頭という社会的背景があったからだと思われます。
冒頭からホモホモ・ブロック員が美女に惨殺されたり、SMチックな拷問シーンが展開されており、子供だった僕のマゾヒズムはギンギンに刺激されました。 拷問から開放されたホモホモセブンが呟く「おれ 、Mかな?」というセリフも当時なんとなく理解していたような記憶があります。
しかしホモホモセブンはけっしてホモセクシャルではなく、美女が好きなんですよねぇ…
彼らはなぜ同性同士で結束して、異性と憎みあうのか?? 「男と女は別の生き物で、決して相容れることのない存在である」という事をこの作品は示唆していたのかもしれません。
女性キャラを丁寧に美しく描く反面、男性キャラは落書きの様に適当に描き殴る みなもと太郎氏の一貫した画風は、今思うと春川ナミオ画伯に共通するような女尊男卑の精神が垣間見えて興味深いです。
あくまでも少年誌と言う建前であった「少年マガジン」ですが、劇画要素を取り入れてからは大学生の読む雑誌として内容も少し大人向けになっていました。時にエロチックな描写等も盛り込まれ、当時の小学 生もその恩恵に預かっていたのは間違いありません。
■さいとうたかを
時代劇、現代劇、SFや探偵物、ヒーロー物など様々なジャンルを手掛けてきた劇画の先駆者・さいとうたかを。彼の作品はゴルゴ13に代表されるように男の世界を中心に描かれていて、女性に関する描写は極端に少ない気がします。
しかし、さいとうたかを氏が自らの女性観を語っている記事を読んで、彼が女性に対して大いなる敬愛の念を抱いていた事を知りました。
さいとう氏曰く
「間違いなく女性は人間としての生命の根源ですから。本質的に女性は男の上にいるという意識がある。男なんて『ついで』ですから(笑)。自分の母親が亡くなったのは私が18歳の時でしたけど、母(なる存在)はすごい生命だと。だから、ずっと女性は尊敬しております」との事。
この世代の男性漫画家達はなんとなく母親に頭が上がらないと言う印象があります。
マザコンを自認していた赤塚不二夫氏しかり、キスシーンやレイ◯未遂シーンを描いて母親に叱責されていたちばてつや氏しかり、藤子・F・不二雄氏しかり… 水木しげる氏や手塚治虫氏は少し年代が上ですが同様です。
あの戦争のさなか、子供達を体を張って守り、生き抜いてきた女性のたくましさが自然と彼らの生き様や作品に影響しているのでしょうか。
■白土三平
64年間に及ぶ画業の大半を忍びの世界を描く事に捧げた巨匠・白土三平。
氏が少年サンデーに連載した「サスケ」に登場する「鬼姫」は少女ながら冷酷なサディズムを感じさせるキャラクターでした。
大猿とサスケ親子に殺された九鬼一族の最後の生き残り「鬼姫」。 彼女は復讐の権化と化し、二人の命をつけ狙います。
女性的な成長を遂げたくノ一ならば、その色香で男を垂らしこんで骨抜きにした後、命を奪うのでしょうが、そこは少年誌です。 少女の儚さや、か弱さを武器にサスケに近づきます。
自分達の命を付け狙う敵とわかった後もサスケは少女に情をかけて殺す事ができません。
しかし大勢の無関係な者達を巻き込んだり、可愛がっていた子犬に爆薬を仕掛けられて
ついには堪忍袋の緒が切れ……
殺るか殺られるかの非常な忍者の世界。 身内を殺されて復讐に燃える鬼姫の気持ちもわかります。
彼女は絵の素質を持っており、赤猿と言う老絵師と出会ったことから絵を描くことに熱中し、次第に人間の心を取り戻していきます。
くノ一という存在は何故か悲しげなイメージがつきまといますが、冷淡且つ大胆に任務を遂行する非情さにマゾヒストとしては惹かれるものがあります。
■古谷三敏
古谷三敏と言えば最近は「寄席芸人伝」や「レモンハート」が代表作でしょうが、かつて一世を風靡した「ダメおやじ」と言う作品がありました。
うだつの上がらない安サラリーマン雨野ダメ助が、会社や家庭でドジったりミスったりする度に妻である冬子の怒りを買い、壮絶なリンチを加えられると言う内容でした。今考えると究極のDVをテーマにした作品と言えます。
オバタリアンの原型とも言われるこの恐妻の容姿はとても僕のマゾヒズムには刺さらず、ダメおやじに同情さえしたものですがリンチに参戦する娘の雪子は中々の美人でした。
どうせ虐められるなら美しい女性に虐められたい!
こんなことを書くと女性蔑視発言と捉えられそうですが、M男とはそういう生き物だと思っています。
作品の長期化によるマンネリを恐れたのか 、後半は打って変わって和やかな展開になっていった作品ですが、弱いものを徹底的に虐めるという女性の残酷さを潜在意識に植えつけてくれた作品でありました。
以上、今年お亡くなりになった漫画家達が描いたfemdom的シーンを紹介してみました。
当ブログは相変わらずの低迷で今年もあまり更新できずにいましたが、来年も引き続きよろしくお願い致します!