マゾヒズムを嗤う
国会で、“宮沢洋一経産相の資金管理団体が、政治資金をSMバーに拠出していた問題”を追求していた民主党の菊田真紀子議員。
くだんのSMバーに対して「口にするのも汚らわしい」と発言し、「セクシャル・マイノリティに対するヘイトスピーチではないのか」とネットで散々叩かれていました。
そして、ネット民はどこで発掘してきたのか、菊田議員が巨大な男根の御神体に乗り大はしゃぎしている様子を撮った写真を公開し、反撃に出たのです。
「チンコに跨がった女が法案審議を妨げる。」 民主党議員のお家芸、巨大なブーメランが突き刺さったと言う訳です。
「口にするのも汚らわしい」との発言は、性的マイノリティに対する差別だけでなく、SMバーで働いている女性達にとっては職業差別でもあります。 確かに国会議員としてはふさわしくない発言だと思いますし、口を滑らせたとはいえ、彼女のSMに対する差別意識が露骨に表れています。
そして宮沢大臣が「私は行っていない!」と真っ先に弁明するあたり“世間のSM愛好者に対する目"がどの様なものであるのか察することができます。
オープンになったと言われますが、今だに世間はSMに対して冷ややかな目を向けているという事です。
一連の騒動を見ていて、当のマゾヒストである僕でさえニヤニヤと嗤ってしまった。
SMにはどこかコミカルな一面がある様に思います。
そしてマゾヒストはどこか悲哀に満ちた人種です。
憧れて恋い焦がれる異性に蔑まれ、虐げられる事に喜びを感じてしまうのですから。
マゾヒスト達が、真剣に追求している性的官能の深淵も、ノーマルな人から見れば滑稽な道化芝居の様に見えるのでしょう。
崇拝する女性に対する純愛は、とても美しいものですが、世界の中心で「俺はマゾヒストだ!」と声高に叫ぶことは出来ない。
友人同士の飲み会の席で、「俺ってもしかしたらチョイMかも」なんて言ったりしているのです。
実際は激しく痛めつけられる事で性的欲求を解放するバリバリのハードMです(笑)
終日働きづめの友人が、奥さんに給料を全て押さえられ、小遣いなしで飲み代の捻出に苦労している姿を見て「まるで奴隷の様な生活だな」と揶揄したりします。
実際は寝ても覚めてもご主人様の事ばかり想い、焼印を頂いて歓喜している奴隷が僕です。
夫の行動をいちいち詮索する嫉妬深い妻を持った友人に「お前が貞操帯を着ければ奥さんも安心するよ」と言って茶化したりもします。
実際はご主人様に射精管理をして頂き、股間にガッチリと貞操帯を食い込ませているのが僕です。
どうです? マゾヒストの日常ってなんだかペーソスがたっぷり盛り込まれたギャグ漫画の様な趣きがありませんか?
昔読んだ赤塚不二夫の「天才バカボンのおやじ」に「死ぬほどいじめてなのだ」という、マゾヒズムをテーマに描かれた一編がありました。
「天才バカボンのおやじ」は、少年マガジン誌上で息子のバカボンを食って主役の座に着いたバカボンパパの活躍を大人向けのマンガ誌に移植した作品です。
大人向けということで多少エロ的な要素が盛り込まれた話も見受けられますが、決してどぎついものではありません。
「死ぬほどいじめてなのだ」は、超絶ドMのヒゲのお巡りさんの悲哀を笑った作品でした。
僕はこの作品が収録された文庫を成人になってから古書で入手したので、リアルタイムで読んだわけではありません。
作品が描かれたのはなんと今から半世紀近くも前の1970年頃。 おそらくSMは変態的な行為として今よりはるかに厳しい目に晒されていた時代だと思われます。
赤塚不二夫氏は、自らもタモリと絡んでSMショーに興じるなど、マニアの一面もあったのかと思われる方もいるかもしれませんが、実はSMに潜むギャグ的な要素を感じ取って作品中に取り上げていたのだと思います。
悪ふざけが大好きだった永遠の少年は、自らの体を張って面白い事にはなんでも挑戦していたのです。
この加虐と被虐というマテリアルは長年、氏のブレーンを務めていた古谷三敏の出世作「ダメおやじ」に継承されていったのでしょう。
著作権の問題もあるので全ページを掲載する事は出来ませんが、「死ぬほどいじめてなのだ」のSTORYを紹介しますと…
交番勤務のヒゲのおまわりさんは、ハード嗜好のマゾヒストで、職務中も“誰かにいじめられたい”という思いが頭から離れません。 彼のマゾヒズムの対象は女性ではなく、誰でもいいみたいです。 このヒゲのおまわりさんは、赤塚作品ではオネエキャラとしても定着しています。
彼は身近にいる同僚の警察官や道を尋ねに来た人に「いじめて欲しい」と頼み込みますが、気味悪がられて相手にしてもらえません。 おまわりさんの被虐願望は膨らんでいくばかりです。
ついには捕らえられた泥棒にまで駆け引きを持ちかけます。
「ぼくをしばってなぐっていじめてくれたら…」逃がしてあげるというわけです。
おまわりさんを縛った泥棒は、彼の願望を叶えることなく、何もしないで逃げて行きます。
泥棒を見失ったおまわりさんは、悔しくて犬を蹴り飛ばし足を噛まれてしまいます。
「ヒー きもちいいーっ!!」
飼い主があわてて飛び出してきて犬を引き離しますが、平謝りの飼い主に「せっかくかんでたのに…きらいっ!!」
そこに例の同僚がやってきて…
願望が実現することなく黄昏ているおまわりさん。
そしていよいよ、あのお方の登場です。
「もっともっといじめてください!!」と切望するおまわりさんに「おまわりは人をいじめるのが商売なのだ! !︎」と返すパパのセリフが秀逸過ぎます(笑)
おまわりさん「いじめられるとゾクーッと感じちゃうの! !︎」
パパ「いい人にあったのだ。」
まるでご主人様と僕との運命的な出会いの様です(笑)
パパのお家に誘われて、期待を膨らませてついて行くおまわりさん。
唐辛子入りのお茶や熱湯風呂の洗礼で次第にマゾヒズムがエスカレートしていきます。
作者は、刺激に慣らされてどんどんと深みにはまっていくマゾヒストの性向をよくご存知の様です。
様々なパパの責めの提案もすでに経験済みで飽きてしまっているおまわりさん。
パパ特製の特大級お灸責めで歓喜します。
そして…SMがエスカレートしていった末の不幸な事故死。
僕も気をつけなくてはいけません( ̄▽ ̄)
なんとも哀しい結末です。
実は今回Blogでこの作品を取り上げたのは、先日のご調教でご主人様からお灸責めをされている時にこのお灸のラストシーンを思い出したからです。
ご主人様にその内容をお聞かせした所、「へぇ〜、バカボンてシュールな漫画なんだね! ?︎」と驚かれていました。 しかし僕は、ご主人様がバカボンの事をあまりよくご存知ないという事の方が驚きでした。
でも、よく考えて見れば平成のお嬢様育ちだったご主人様が、赤塚漫画をご存じなくても無理もありません。
確かにご本家の「天才バカボン」の方も回を重ねるごとにシュールを極めていった感じです。 2ちゃんでも度々語られている“ダルマの話”などは、もはやホラーの様相を呈しています。
“儲かりたい病の男"が、不要と思われる身体のパーツを次々と医者に売っていき、最後はダルマになってしまう。 手がないので売ったお金を受け取ることもできないというブラックな話です。
ラストはパパに髭を描かれて、大衆食堂の店内に飾られてしまうのです。
ご主人様にこの作品の内容に関してもお話しすると、「ダルマは私もスキー♡」と仰られ、次回の調教で全身拘束具を使ったダルマ状態でペニス拷問を受ける事になりました(笑)
そんなご主人様は、妖怪ウォッチにはまり、リラックマを愛する可愛らしい現代女子なのであります。
さて、社会から差別されることを恐れ、生涯、自らの性癖をカミングアウトする事はないであろう僕ではありますが、それでもなお“マゾヒストに生まれてきて本当によかった”と心から思っています。
たとえ嗤われても「マゾほど素敵な性癖はない!」と心の内で声高に叫ぶことならできるのです。
くだんのSMバーに対して「口にするのも汚らわしい」と発言し、「セクシャル・マイノリティに対するヘイトスピーチではないのか」とネットで散々叩かれていました。
そして、ネット民はどこで発掘してきたのか、菊田議員が巨大な男根の御神体に乗り大はしゃぎしている様子を撮った写真を公開し、反撃に出たのです。
「チンコに跨がった女が法案審議を妨げる。」 民主党議員のお家芸、巨大なブーメランが突き刺さったと言う訳です。
「口にするのも汚らわしい」との発言は、性的マイノリティに対する差別だけでなく、SMバーで働いている女性達にとっては職業差別でもあります。 確かに国会議員としてはふさわしくない発言だと思いますし、口を滑らせたとはいえ、彼女のSMに対する差別意識が露骨に表れています。
そして宮沢大臣が「私は行っていない!」と真っ先に弁明するあたり“世間のSM愛好者に対する目"がどの様なものであるのか察することができます。
オープンになったと言われますが、今だに世間はSMに対して冷ややかな目を向けているという事です。
一連の騒動を見ていて、当のマゾヒストである僕でさえニヤニヤと嗤ってしまった。
SMにはどこかコミカルな一面がある様に思います。
そしてマゾヒストはどこか悲哀に満ちた人種です。
憧れて恋い焦がれる異性に蔑まれ、虐げられる事に喜びを感じてしまうのですから。
マゾヒスト達が、真剣に追求している性的官能の深淵も、ノーマルな人から見れば滑稽な道化芝居の様に見えるのでしょう。
崇拝する女性に対する純愛は、とても美しいものですが、世界の中心で「俺はマゾヒストだ!」と声高に叫ぶことは出来ない。
友人同士の飲み会の席で、「俺ってもしかしたらチョイMかも」なんて言ったりしているのです。
実際は激しく痛めつけられる事で性的欲求を解放するバリバリのハードMです(笑)
終日働きづめの友人が、奥さんに給料を全て押さえられ、小遣いなしで飲み代の捻出に苦労している姿を見て「まるで奴隷の様な生活だな」と揶揄したりします。
実際は寝ても覚めてもご主人様の事ばかり想い、焼印を頂いて歓喜している奴隷が僕です。
夫の行動をいちいち詮索する嫉妬深い妻を持った友人に「お前が貞操帯を着ければ奥さんも安心するよ」と言って茶化したりもします。
実際はご主人様に射精管理をして頂き、股間にガッチリと貞操帯を食い込ませているのが僕です。
どうです? マゾヒストの日常ってなんだかペーソスがたっぷり盛り込まれたギャグ漫画の様な趣きがありませんか?
昔読んだ赤塚不二夫の「天才バカボンのおやじ」に「死ぬほどいじめてなのだ」という、マゾヒズムをテーマに描かれた一編がありました。
「天才バカボンのおやじ」は、少年マガジン誌上で息子のバカボンを食って主役の座に着いたバカボンパパの活躍を大人向けのマンガ誌に移植した作品です。
大人向けということで多少エロ的な要素が盛り込まれた話も見受けられますが、決してどぎついものではありません。
「死ぬほどいじめてなのだ」は、超絶ドMのヒゲのお巡りさんの悲哀を笑った作品でした。
僕はこの作品が収録された文庫を成人になってから古書で入手したので、リアルタイムで読んだわけではありません。
作品が描かれたのはなんと今から半世紀近くも前の1970年頃。 おそらくSMは変態的な行為として今よりはるかに厳しい目に晒されていた時代だと思われます。
赤塚不二夫氏は、自らもタモリと絡んでSMショーに興じるなど、マニアの一面もあったのかと思われる方もいるかもしれませんが、実はSMに潜むギャグ的な要素を感じ取って作品中に取り上げていたのだと思います。
悪ふざけが大好きだった永遠の少年は、自らの体を張って面白い事にはなんでも挑戦していたのです。
この加虐と被虐というマテリアルは長年、氏のブレーンを務めていた古谷三敏の出世作「ダメおやじ」に継承されていったのでしょう。
著作権の問題もあるので全ページを掲載する事は出来ませんが、「死ぬほどいじめてなのだ」のSTORYを紹介しますと…
交番勤務のヒゲのおまわりさんは、ハード嗜好のマゾヒストで、職務中も“誰かにいじめられたい”という思いが頭から離れません。 彼のマゾヒズムの対象は女性ではなく、誰でもいいみたいです。 このヒゲのおまわりさんは、赤塚作品ではオネエキャラとしても定着しています。
彼は身近にいる同僚の警察官や道を尋ねに来た人に「いじめて欲しい」と頼み込みますが、気味悪がられて相手にしてもらえません。 おまわりさんの被虐願望は膨らんでいくばかりです。
ついには捕らえられた泥棒にまで駆け引きを持ちかけます。
「ぼくをしばってなぐっていじめてくれたら…」逃がしてあげるというわけです。
おまわりさんを縛った泥棒は、彼の願望を叶えることなく、何もしないで逃げて行きます。
泥棒を見失ったおまわりさんは、悔しくて犬を蹴り飛ばし足を噛まれてしまいます。
「ヒー きもちいいーっ!!」
飼い主があわてて飛び出してきて犬を引き離しますが、平謝りの飼い主に「せっかくかんでたのに…きらいっ!!」
そこに例の同僚がやってきて…
願望が実現することなく黄昏ているおまわりさん。
そしていよいよ、あのお方の登場です。
「もっともっといじめてください!!」と切望するおまわりさんに「おまわりは人をいじめるのが商売なのだ! !︎」と返すパパのセリフが秀逸過ぎます(笑)
おまわりさん「いじめられるとゾクーッと感じちゃうの! !︎」
パパ「いい人にあったのだ。」
まるでご主人様と僕との運命的な出会いの様です(笑)
パパのお家に誘われて、期待を膨らませてついて行くおまわりさん。
唐辛子入りのお茶や熱湯風呂の洗礼で次第にマゾヒズムがエスカレートしていきます。
作者は、刺激に慣らされてどんどんと深みにはまっていくマゾヒストの性向をよくご存知の様です。
様々なパパの責めの提案もすでに経験済みで飽きてしまっているおまわりさん。
パパ特製の特大級お灸責めで歓喜します。
そして…SMがエスカレートしていった末の不幸な事故死。
僕も気をつけなくてはいけません( ̄▽ ̄)
なんとも哀しい結末です。
実は今回Blogでこの作品を取り上げたのは、先日のご調教でご主人様からお灸責めをされている時にこのお灸のラストシーンを思い出したからです。
ご主人様にその内容をお聞かせした所、「へぇ〜、バカボンてシュールな漫画なんだね! ?︎」と驚かれていました。 しかし僕は、ご主人様がバカボンの事をあまりよくご存知ないという事の方が驚きでした。
でも、よく考えて見れば平成のお嬢様育ちだったご主人様が、赤塚漫画をご存じなくても無理もありません。
確かにご本家の「天才バカボン」の方も回を重ねるごとにシュールを極めていった感じです。 2ちゃんでも度々語られている“ダルマの話”などは、もはやホラーの様相を呈しています。
“儲かりたい病の男"が、不要と思われる身体のパーツを次々と医者に売っていき、最後はダルマになってしまう。 手がないので売ったお金を受け取ることもできないというブラックな話です。
ラストはパパに髭を描かれて、大衆食堂の店内に飾られてしまうのです。
ご主人様にこの作品の内容に関してもお話しすると、「ダルマは私もスキー♡」と仰られ、次回の調教で全身拘束具を使ったダルマ状態でペニス拷問を受ける事になりました(笑)
そんなご主人様は、妖怪ウォッチにはまり、リラックマを愛する可愛らしい現代女子なのであります。
さて、社会から差別されることを恐れ、生涯、自らの性癖をカミングアウトする事はないであろう僕ではありますが、それでもなお“マゾヒストに生まれてきて本当によかった”と心から思っています。
たとえ嗤われても「マゾほど素敵な性癖はない!」と心の内で声高に叫ぶことならできるのです。