乱歩体験
うつし世はゆめ よるの夢こそまこと
小学校の中学年の頃。 昼休みや放課後になると、僕は必ずと言っていいほど学校の図書室に入り浸っていました。 そこで海外のSF作品やホームズ物、怪盗ルパンシリーズなどと合わせて江戸川乱歩の少年探偵団物を読み漁っていたのです。
前者は子供の夢や冒険心を養う優良な読み物でしたが、乱歩作品は怪奇色も強く、秘密めいた雰囲気が幼かった僕を夢中にさせました。 これらは今なお、児童図書として刊行されて続けているロングセラー作品群ですが、最近のものは時代に合わせて装丁もオシャレになってしまったためか、魅力も半減したように感じます。 旧版は何と言ってもレトロ感溢れるカバー絵や挿絵のおどろおどろしさが魅力的でした。
謎解き、トリック、美少年、洋館、深窓の令嬢、誘拐事件、蝋人形、地下牢、変装、怪人、暗号等々…作品中に出てくるワードを挙げただけでも妖しい魅力が満載です。
僕はワクテカしながら、これらを毎日の様に夢中になって読んでいたので、図書室にあったポプラ社版の全47巻はあっという間に読破してしまいました。
しかし、妖しい世界ながらもここまでは学校の図書室に並ぶ健全?なジュブナイル作品。
5年生になる頃にはもうこれらの子供騙しでは物足りなくなり、書店で大人向けの文庫本に手を出すようになりました。 まずは読みやすい短編集から入り、やがて長編全集を買い求める様になります。 これが子供には衝撃の変態ワールド!
猟奇、エログロ、残虐趣味。 窃視症や快楽殺人、性的倒錯やフェティシズム、変身願望、ネクロフィリア、ピグマリオニズム、フリークス等々。
僕はジュブナイル作品とは比較にならないほど刺激的な大人の乱歩ワールドに魅了され、親にねだって次々と文庫を買い揃えていきました。
わからない単語があると親に読み方を教えてもらい、辞書を引きながら、熱心に読み進めます。 淫乱やら堕胎などと言うトンデモない語句も頻繁に出てきて、しばしば親を不安にさせていたようです。
このトラウマ的読書体験は今になって思うと、すでに幼児期から息吹いていた僕の変態の芽を育て、開花させるに至った大きな要因の一つではなかったかと考えています。
小学校を通じて僕のオナニーのネタはクラスの女子たちや女性教師から受ける虐待の妄想でした。 妄想の内容に関してはまた別の機会に明かしますが、当時はこの異性にイジメられたい願望は僕だけが持つ特有の性癖かと思っていたのです。
ところが乱歩のD坂の殺人事件という作品を読んでこの性癖に名前が付いていることを知りました。
「マゾヒスト」 それは日本訳では被虐色情者と言う名称で書かれていました。
対してサディストの方は残虐色情者です。
サディストの男とマゾヒストの女が偶然、近所に住んでいたことをきっかけに知り合い、お互いの性癖を満たすためにそれぞれの夫や妻の目を盗んでSM行為に興じるようになります。 そしてそれがエスカレートしていった果てに不幸にもプレイ中の事故でMのパートナーを殺してしまう。
D坂の殺人事件はSMを題材にした短編作品でした。
僕はこの作品で初めて自分の甘美な妄想を実現する世界があるのだという事を知りました。 驚く事に男女の性的行為を知るよりも被虐的快楽の存在を認識した方が先だったのです。
本が好きで書店に頻繁に通っていた僕はこの後、SM雑誌の存在を知ります。
アダルトコーナーの禁断の書物の前を行ったりきたり。 悲しいかな、小学生の僕にはさすがにそれを手に取るだけの勇気はありませんでした(笑)
しかし、この頃、SMに対する好奇心は抑えられない位にどんどん、どんどんと膨らんでいったのでした。
小学校の中学年の頃。 昼休みや放課後になると、僕は必ずと言っていいほど学校の図書室に入り浸っていました。 そこで海外のSF作品やホームズ物、怪盗ルパンシリーズなどと合わせて江戸川乱歩の少年探偵団物を読み漁っていたのです。
前者は子供の夢や冒険心を養う優良な読み物でしたが、乱歩作品は怪奇色も強く、秘密めいた雰囲気が幼かった僕を夢中にさせました。 これらは今なお、児童図書として刊行されて続けているロングセラー作品群ですが、最近のものは時代に合わせて装丁もオシャレになってしまったためか、魅力も半減したように感じます。 旧版は何と言ってもレトロ感溢れるカバー絵や挿絵のおどろおどろしさが魅力的でした。
謎解き、トリック、美少年、洋館、深窓の令嬢、誘拐事件、蝋人形、地下牢、変装、怪人、暗号等々…作品中に出てくるワードを挙げただけでも妖しい魅力が満載です。
僕はワクテカしながら、これらを毎日の様に夢中になって読んでいたので、図書室にあったポプラ社版の全47巻はあっという間に読破してしまいました。
しかし、妖しい世界ながらもここまでは学校の図書室に並ぶ健全?なジュブナイル作品。
5年生になる頃にはもうこれらの子供騙しでは物足りなくなり、書店で大人向けの文庫本に手を出すようになりました。 まずは読みやすい短編集から入り、やがて長編全集を買い求める様になります。 これが子供には衝撃の変態ワールド!
猟奇、エログロ、残虐趣味。 窃視症や快楽殺人、性的倒錯やフェティシズム、変身願望、ネクロフィリア、ピグマリオニズム、フリークス等々。
僕はジュブナイル作品とは比較にならないほど刺激的な大人の乱歩ワールドに魅了され、親にねだって次々と文庫を買い揃えていきました。
わからない単語があると親に読み方を教えてもらい、辞書を引きながら、熱心に読み進めます。 淫乱やら堕胎などと言うトンデモない語句も頻繁に出てきて、しばしば親を不安にさせていたようです。
このトラウマ的読書体験は今になって思うと、すでに幼児期から息吹いていた僕の変態の芽を育て、開花させるに至った大きな要因の一つではなかったかと考えています。
小学校を通じて僕のオナニーのネタはクラスの女子たちや女性教師から受ける虐待の妄想でした。 妄想の内容に関してはまた別の機会に明かしますが、当時はこの異性にイジメられたい願望は僕だけが持つ特有の性癖かと思っていたのです。
ところが乱歩のD坂の殺人事件という作品を読んでこの性癖に名前が付いていることを知りました。
「マゾヒスト」 それは日本訳では被虐色情者と言う名称で書かれていました。
対してサディストの方は残虐色情者です。
サディストの男とマゾヒストの女が偶然、近所に住んでいたことをきっかけに知り合い、お互いの性癖を満たすためにそれぞれの夫や妻の目を盗んでSM行為に興じるようになります。 そしてそれがエスカレートしていった果てに不幸にもプレイ中の事故でMのパートナーを殺してしまう。
D坂の殺人事件はSMを題材にした短編作品でした。
僕はこの作品で初めて自分の甘美な妄想を実現する世界があるのだという事を知りました。 驚く事に男女の性的行為を知るよりも被虐的快楽の存在を認識した方が先だったのです。
本が好きで書店に頻繁に通っていた僕はこの後、SM雑誌の存在を知ります。
アダルトコーナーの禁断の書物の前を行ったりきたり。 悲しいかな、小学生の僕にはさすがにそれを手に取るだけの勇気はありませんでした(笑)
しかし、この頃、SMに対する好奇心は抑えられない位にどんどん、どんどんと膨らんでいったのでした。