怪力少女の想い出
小学二年生の春、クラス替えで同じクラスになったばかりの友人Aから、 “怪力京子”とあだ名される女の子の噂を耳にしました。
彼の話によると怪力京子は幼少時から空手を習っていて、女の子が男の子に虐められているとすかさず助けに入り、どんな男の子でもたちどころに撃退してしまうのだとか…
しかも腕相撲がやたらと強くて、友人Aも手合わせをした事があるが、全く歯が立たなかったという事でした。
彼は幼稚園の頃から怪力京子とクラスが一緒で、彼女の強さをずっと目の当たりにしてきたそうです。 彼女に泣かされた男の子は数知れない…と、友人Aはまるで自慢話でもするように語りました。
僕は授業が終わるとすぐさま学校を後にしていましたし、休み時間は教室で漫画を描いているような子供だったので、他のクラスにどんな子がいるのかほとんど知りませんでした。
友人Aとは幼稚園も別だったので、怪力京子なる女の子の噂も初耳です。
しかし、当時すでにM性に目覚めていた僕は、怪力京子なる少女に並々ならぬ興味を持ち、休み時間を利用して友人Aと一緒に彼女のクラスを視察しに行くことにしました。
後方の出入り口から教室内を恐る恐る覗く僕達。友人Aは怪力京子を見つけると、遠慮がちに指差しながら「あいつ…ほら、今ちょっとこっちの方を見た…」と言って僕の陰に隠れようとします。
「え⁉︎ あの子?」
そこには天使の輪が煌めく黒髪のロングヘアに、クリっと大きな目をした華奢な美少女が立っていました。
彼女は僕の視線に気がついたのか、こちらを見ながら小首を傾げ「私に何か用?」とでも言いたげな顔をしました。
僕はドギマギして慌てて視線をそらし、誰かを探しているふうに教室内を見渡してごまかしましたが、心臓はバクバクです。
僕は怪力京子の事を、勝手に“ショートヘアの体格のいい女の子”だろうと想像していたので、一瞬友人Aの話はホラではないかと疑いました。
友人Aは赤塚不二夫と藤子不二雄を混同し「おそ松くんと忍者ハットリくんを描いた作者は同じ人だ。」と言い張る、ちょっとアレな子供でした。 僕が勘違いを指摘しても「うちにあるソノシートにはどちらも同じ作者名が書いてあった」と言って譲りません。 そこで「じゃあ明日2枚共持ってきて見せて」と言うと「従兄弟に貸したので今は手元にない…」などと平気で嘘をつくようなヤツだったのです。 僕が疑念を抱いたのも無理からぬ事でした。
友人Aに怪力京子と名指しされた美少女は、僕達に不審なものを感じたのか、チラチラとこちらの様子を窺っているようでした。 そして次の瞬間、僕の後ろに隠れている友人Aを見つけると「お前かぁっ⁉︎」と可愛いらしい怒声をあげたのです。
そしてなんと、唐突に空手の正拳突きや上段蹴りの形を披露するや、不敵な笑みを浮かべ「かかってこいやー」の手招きをしながらこちらへ近づいてくるではありませんか!
「うわぁ、やべえ 逃げろ‼︎」
友人Aが叫ぶが速いか、僕達はその場を離れ一目散に自分達の教室へと逃げ帰りました。
怪力京子のクラスと僕達のクラスとは校舎が別棟で、渡り廊下で繋がっていました。
僕達はまるで巨人に獲って食われるかのような恐怖心に駆られ、後ろも振り返らずに必死に逃げ帰りました。
そうして自分達の教室に戻った後も、休み時間が終わるまではいつでも逃げ出せる体制で出入り口の方に注意を払っていました。 しかし、幸いにも彼女が僕達を追いかけて来るような事はありませんでした。
考えてみれば僕達は、彼女に追いかけ回されてボコられるような悪さは何もしていません。
あのキレの良い見事な空手の所作や友人Aの怯えようから、彼の話が作り話や誇張でない事だけは確信しました。
友人Aは「なっ?俺が言った事は本当だろ?俺は嘘つかないだろ?」と何度か念押しで確認すると、満足したのかそれ以上怪力京子に関する話をしなくなりました。
おそらく赤塚不二夫と藤子不二雄を混同した件で、僕に嘘つきと思われているのがシャクだったのでしょう。 彼にとって怪力京子の一件は、名誉挽回の一手だったのだと思います。
友人Aとの怪力京子の話題はそれっきりになりましたが、僕はその日以来、彼女の事が気になって気になって仕方がなくなりました。
不可思議な感情ですが、なにやら恐怖心と同時に淡い恋心のようなものが芽生えたようなのです。
しかし、そんな気持ちとは裏腹に彼女のクラスの前を通る時は、俯いて足早に駆け去るようしていました。
僕は誓って、女の子に対して悪さを働いた事はありませんが、彼女の眼力に僕のM性癖が見抜かれているような後ろめたい気持ちがあったのかもしれません。
美少女と言うだけで後光が差し、まるで超能力者か何かのように万能な存在と考えてしまうのは子供の頃からの僕の悪い癖です。
その後、彼女とは何度か廊下ですれ違うような事はありましたが、向こうは僕の事はすっかり忘れているようで、なにやらホッとしたような寂しいような複雑な思いがしたものでした。
本当は大勢の女の子達が観ている前で囃し立てられながら、怪力京子にボコられて泣かされたい…
パンツを下ろされて辱めを受けて笑われたい…そんな事を考えるたびに僕の小さなチンチンはカチカチに硬くなっていたのです。
子供社会において、女の子に泣かされるという屈辱は、大いなるトラウマであり、マゾヒズム覚醒のきっかけになり得る出来事です。僕のご主人様も、幼 児 期には男の子の事を泣くまで虐めていたと仰っていました。
きっと大勢の男児達をマゾとして目覚めさせた事でしょう。
ご主人様のお話を伺って、僕は、小学2年生の時よりもチョビッとだけ立派になったチンチンを硬くした事は言うまでもありません。
その年の夏休み、僕は都内から埼玉県の小学校へと転校したので、怪力京子が悪童男子共を成敗している場面にはとうとう一度も出くわす事はありませんでした。
その後、漫画「ハレンチ学園」の影響でスカートめくりが流行った際、彼女の金的蹴りが多くの少年達の急所にめり込んだであろう事は想像に難くありません。
彼女は今、一体何処でどうしているのでしょうか?…
彼女に娘さんがいたとしたら、その子も怪力で名を馳せ、悪い男の子達を懲らしめてきたのでしょうか?
ちなみにこの記事では彼女の名前を京子と記していますが、実際はどんな漢字を書くのか知りません。 恭子か、あるいは響子か、はたまた今日子という可能性もありそうです。 苗字の方は全く不明ですが、友人Aから聞いたニックネームだけはインパクトが強かった為に鮮明に記憶しているのです。 何処かで名前を見ていたとしてもおそらく平仮名だったでしょうし、何分にも小2の時の事なので記憶が曖昧です。
あ!もしかしたら強子かもしれませんね!
怪力強子
そうに違いありません。なんと強そうな名前でしょうか‼︎
顔の印象もはっきり覚えてはいるのですが、入学時から別のクラスだったので一緒に写っている記念写真もありませんし、2年の夏には転校したので卒業アルバムもありません。
長年埋もれていた記憶なので、どこかで多少美化している可能性も否めませんが、それを確認する手立てもありません。
ただ、僕が半世紀も覚えている事から、かなり可愛い子だったのは間違いないと思います。
他愛のない思い出話で恐縮です。 実は今回の記事はこれだけで、さらなる展開もオチも何もないのです。
僕が怪力京子にボコられたわけではありませんし、その現場を目撃したわけでもありません。 しかし、その後しばらくの間は僕の妄想の中に登場して、少年期のマゾヒズムの芽を育ててくれた事だけは間違いありません。
もしかしたらあれが僕の初恋だったのかもしれませんね。
youtubeで見つけた9歳のロシア少女エブニカちゃんの動画を観て、半世紀ぶりに怪力京子の事を思い出しました。
素手で木の幹を執拗に殴りつけ破壊するエブニカちゃんの闘争心は、腑抜けたマゾヒズムを吹き飛ばしてくれます。 グローブをつけた拳で木を真っ二つにへし折る動画も衝撃的です。
素人の大人が全力でかかったとしても太刀打ちできる気がしませんし、向かって来られたら土下座で許しを乞うレベルです。
これを観ると8歳の女の子が腕力で男子を泣かす事など、いとも容易い事のように思えます。
谷崎潤一郎の名作「少年」ばりの淡くて美しい物語を語りたいのですが、残念ながら僕にはそんな思い出はありません(>_<)
それでも、僕にとって怪力京子の伝説は、マゾ心を撃ち抜かれた忘れえぬ思い出なのであります。
彼の話によると怪力京子は幼少時から空手を習っていて、女の子が男の子に虐められているとすかさず助けに入り、どんな男の子でもたちどころに撃退してしまうのだとか…
しかも腕相撲がやたらと強くて、友人Aも手合わせをした事があるが、全く歯が立たなかったという事でした。
彼は幼稚園の頃から怪力京子とクラスが一緒で、彼女の強さをずっと目の当たりにしてきたそうです。 彼女に泣かされた男の子は数知れない…と、友人Aはまるで自慢話でもするように語りました。
僕は授業が終わるとすぐさま学校を後にしていましたし、休み時間は教室で漫画を描いているような子供だったので、他のクラスにどんな子がいるのかほとんど知りませんでした。
友人Aとは幼稚園も別だったので、怪力京子なる女の子の噂も初耳です。
しかし、当時すでにM性に目覚めていた僕は、怪力京子なる少女に並々ならぬ興味を持ち、休み時間を利用して友人Aと一緒に彼女のクラスを視察しに行くことにしました。
後方の出入り口から教室内を恐る恐る覗く僕達。友人Aは怪力京子を見つけると、遠慮がちに指差しながら「あいつ…ほら、今ちょっとこっちの方を見た…」と言って僕の陰に隠れようとします。
「え⁉︎ あの子?」
そこには天使の輪が煌めく黒髪のロングヘアに、クリっと大きな目をした華奢な美少女が立っていました。
彼女は僕の視線に気がついたのか、こちらを見ながら小首を傾げ「私に何か用?」とでも言いたげな顔をしました。
僕はドギマギして慌てて視線をそらし、誰かを探しているふうに教室内を見渡してごまかしましたが、心臓はバクバクです。
僕は怪力京子の事を、勝手に“ショートヘアの体格のいい女の子”だろうと想像していたので、一瞬友人Aの話はホラではないかと疑いました。
友人Aは赤塚不二夫と藤子不二雄を混同し「おそ松くんと忍者ハットリくんを描いた作者は同じ人だ。」と言い張る、ちょっとアレな子供でした。 僕が勘違いを指摘しても「うちにあるソノシートにはどちらも同じ作者名が書いてあった」と言って譲りません。 そこで「じゃあ明日2枚共持ってきて見せて」と言うと「従兄弟に貸したので今は手元にない…」などと平気で嘘をつくようなヤツだったのです。 僕が疑念を抱いたのも無理からぬ事でした。
友人Aに怪力京子と名指しされた美少女は、僕達に不審なものを感じたのか、チラチラとこちらの様子を窺っているようでした。 そして次の瞬間、僕の後ろに隠れている友人Aを見つけると「お前かぁっ⁉︎」と可愛いらしい怒声をあげたのです。
そしてなんと、唐突に空手の正拳突きや上段蹴りの形を披露するや、不敵な笑みを浮かべ「かかってこいやー」の手招きをしながらこちらへ近づいてくるではありませんか!
「うわぁ、やべえ 逃げろ‼︎」
友人Aが叫ぶが速いか、僕達はその場を離れ一目散に自分達の教室へと逃げ帰りました。
怪力京子のクラスと僕達のクラスとは校舎が別棟で、渡り廊下で繋がっていました。
僕達はまるで巨人に獲って食われるかのような恐怖心に駆られ、後ろも振り返らずに必死に逃げ帰りました。
そうして自分達の教室に戻った後も、休み時間が終わるまではいつでも逃げ出せる体制で出入り口の方に注意を払っていました。 しかし、幸いにも彼女が僕達を追いかけて来るような事はありませんでした。
考えてみれば僕達は、彼女に追いかけ回されてボコられるような悪さは何もしていません。
あのキレの良い見事な空手の所作や友人Aの怯えようから、彼の話が作り話や誇張でない事だけは確信しました。
友人Aは「なっ?俺が言った事は本当だろ?俺は嘘つかないだろ?」と何度か念押しで確認すると、満足したのかそれ以上怪力京子に関する話をしなくなりました。
おそらく赤塚不二夫と藤子不二雄を混同した件で、僕に嘘つきと思われているのがシャクだったのでしょう。 彼にとって怪力京子の一件は、名誉挽回の一手だったのだと思います。
友人Aとの怪力京子の話題はそれっきりになりましたが、僕はその日以来、彼女の事が気になって気になって仕方がなくなりました。
不可思議な感情ですが、なにやら恐怖心と同時に淡い恋心のようなものが芽生えたようなのです。
しかし、そんな気持ちとは裏腹に彼女のクラスの前を通る時は、俯いて足早に駆け去るようしていました。
僕は誓って、女の子に対して悪さを働いた事はありませんが、彼女の眼力に僕のM性癖が見抜かれているような後ろめたい気持ちがあったのかもしれません。
美少女と言うだけで後光が差し、まるで超能力者か何かのように万能な存在と考えてしまうのは子供の頃からの僕の悪い癖です。
その後、彼女とは何度か廊下ですれ違うような事はありましたが、向こうは僕の事はすっかり忘れているようで、なにやらホッとしたような寂しいような複雑な思いがしたものでした。
本当は大勢の女の子達が観ている前で囃し立てられながら、怪力京子にボコられて泣かされたい…
パンツを下ろされて辱めを受けて笑われたい…そんな事を考えるたびに僕の小さなチンチンはカチカチに硬くなっていたのです。
子供社会において、女の子に泣かされるという屈辱は、大いなるトラウマであり、マゾヒズム覚醒のきっかけになり得る出来事です。僕のご主人様も、幼 児 期には男の子の事を泣くまで虐めていたと仰っていました。
きっと大勢の男児達をマゾとして目覚めさせた事でしょう。
ご主人様のお話を伺って、僕は、小学2年生の時よりもチョビッとだけ立派になったチンチンを硬くした事は言うまでもありません。
その年の夏休み、僕は都内から埼玉県の小学校へと転校したので、怪力京子が悪童男子共を成敗している場面にはとうとう一度も出くわす事はありませんでした。
その後、漫画「ハレンチ学園」の影響でスカートめくりが流行った際、彼女の金的蹴りが多くの少年達の急所にめり込んだであろう事は想像に難くありません。
彼女は今、一体何処でどうしているのでしょうか?…
彼女に娘さんがいたとしたら、その子も怪力で名を馳せ、悪い男の子達を懲らしめてきたのでしょうか?
ちなみにこの記事では彼女の名前を京子と記していますが、実際はどんな漢字を書くのか知りません。 恭子か、あるいは響子か、はたまた今日子という可能性もありそうです。 苗字の方は全く不明ですが、友人Aから聞いたニックネームだけはインパクトが強かった為に鮮明に記憶しているのです。 何処かで名前を見ていたとしてもおそらく平仮名だったでしょうし、何分にも小2の時の事なので記憶が曖昧です。
あ!もしかしたら強子かもしれませんね!
怪力強子
そうに違いありません。なんと強そうな名前でしょうか‼︎
顔の印象もはっきり覚えてはいるのですが、入学時から別のクラスだったので一緒に写っている記念写真もありませんし、2年の夏には転校したので卒業アルバムもありません。
長年埋もれていた記憶なので、どこかで多少美化している可能性も否めませんが、それを確認する手立てもありません。
ただ、僕が半世紀も覚えている事から、かなり可愛い子だったのは間違いないと思います。
他愛のない思い出話で恐縮です。 実は今回の記事はこれだけで、さらなる展開もオチも何もないのです。
僕が怪力京子にボコられたわけではありませんし、その現場を目撃したわけでもありません。 しかし、その後しばらくの間は僕の妄想の中に登場して、少年期のマゾヒズムの芽を育ててくれた事だけは間違いありません。
もしかしたらあれが僕の初恋だったのかもしれませんね。
youtubeで見つけた9歳のロシア少女エブニカちゃんの動画を観て、半世紀ぶりに怪力京子の事を思い出しました。
素手で木の幹を執拗に殴りつけ破壊するエブニカちゃんの闘争心は、腑抜けたマゾヒズムを吹き飛ばしてくれます。 グローブをつけた拳で木を真っ二つにへし折る動画も衝撃的です。
素人の大人が全力でかかったとしても太刀打ちできる気がしませんし、向かって来られたら土下座で許しを乞うレベルです。
これを観ると8歳の女の子が腕力で男子を泣かす事など、いとも容易い事のように思えます。
谷崎潤一郎の名作「少年」ばりの淡くて美しい物語を語りたいのですが、残念ながら僕にはそんな思い出はありません(>_<)
それでも、僕にとって怪力京子の伝説は、マゾ心を撃ち抜かれた忘れえぬ思い出なのであります。