トップとボトムの理想の関係
「私達がもし出会っていなかったとしたら、今頃はお互いどうやって生きていたんだろう…」
ベッドの上で、横たわった僕の鞭痕を観察しながら、ご主人様がポツリと呟かれました。
「意外と普通に生活していたのかなぁ。 私はぬるいSMで満足して…」
その時、僕は言葉を飲み込んでいたけれど… “もしこの出会いが無かったら、今頃自分はメンタル面で通院する様な事になっていたかもしれないなぁ”と考えていました。
ご主人様は、SMに関して仰られたのだと思いますが、それ以前にご主人様と出会った頃の僕は、精神面、体調面、仕事面、人間関係、生活環境の著しい変化等々…色々な意味でどん底でした。
SMのブランクに入っていた5年間は、僕の人生で最も低迷していた時期だったと思います。
元来、おおらかな性格でメンタルは強い方だと思いますが、それでも当時はかなり参っていました。
僕はご主人様と出会い、ご主人様を崇拝し、ご主人様の奴隷として歩み始めることで新たに生きる希望を見出したのです。
だから、この出会いにはとても感謝しています。
僕が想像していた通り、ご主人様はとても素晴らしい女性でした。
奴隷として残りの人生を捧げても悔いはないと思わせて頂ける、僕にとっては完璧なドミナです。
主従関係に興味を持てなかった僕に、初めて女性に隷従する喜びを教えて下さいました。
それまでSMクラブでのストーリープレイだけで満足していた僕は、ずっとSMの本質を知らずに生きてきたのです。
ご主人様が“ぬるいSMで満足していた”のだとしたら、僕は相変わらず“上辺だけのSMで満足していた”のだろうと思います。
いや、そもそもご主人様にお会いしていなければ、SMに復帰していたかどうかすら疑わしい…
「私達、もうどちらも一人では生きていけないね。」
前回のご調教で、ご主人様は僕に微笑みかけながら、こんな事を仰られました。
僕は思わず「本当ですか!?」と聞き返してしまいました。
もちろん、僕にとってご主人様はかけがえのない存在であり、僕はご主人様がいなければ生きていけない畜奴です。 でも、ご主人様からそんなお言葉を頂けるなんて思ってもみませんでした。
何気無く仰った一言だろうとは思いますが、僕は涙が出そうなくらい嬉しかった。
ご主人様が、こんな自分を必要としてくれている…
僕自身は最近特に、ご主人様のSの感性と僕のMの感性が、ピッタリとはまっているという事を強く感じていました。 進化したご主人様のS性を受け止められるMは自分以外にはいない。 そんな自負もありました。
「一本鞭を振り切るようになってからは、バラ鞭では全然 物足りなくてつまらない。」
「身体に直接火を押し当てていると、ローソク程度じゃ本気で熱がっているように思えなくなった。」
他のM男性とのプレイと比較されて、そんな感想を漏らされる様になりました。
しばしば“ヌルい”という表現をお使いになられ、急激にハード嗜好に傾倒されている様に感じられました。
僕との出会いでご主人様のS性が大きく開花されたという事はあるかもしれません。 しかし、最初にお会いした時、すでにその片鱗は見えていました。 だからこそ、僕は初対面でご主人様の虜になったのです。
ご主人様は、最初の出会いから、僕が完成形のハードマゾだったと思われていた様ですが、それは違います。 ご主人様と出会うまでは、ハードに踏み込めず、入り口辺りでウロウロしていたヘタレマゾでした。
マゾヒストがどんどん深みにはまっていくのは、敬愛する美しき支配者の存在があるからです。
僕はご主人様がお相手でなければ、肌を切り裂くほど厳しい鞭には耐えられませんし、もちろん身体に焼印を頂きたいという思いも起こらなかったと思います。
そんな事をお話しすると「じゃあ相乗効果だね」と笑って仰います。
無邪気で屈託無く、裏表のない性格で、おそらく実社会でも人からとても好かれるタイプの女性なんだろうなぁと思いながら、僕はその優しげな笑顔に見惚れていました。
何より、ご主人様に必要とされている存在でいられる事が奴隷としてとても嬉しい。
トップとボトムの相性はとても良好で、お互いに成長しあえる理想の関係を築けているのではないかと思っています。
僕は調教の内容に関して、パートナーに全権を委ねるのは初めての経験でした。
“今はご主人様の色に染められたい”とひたすら願っているのですから、エゴマゾだった僕も随分と成長を遂げたものです。
ご主人様は厳しい鞭打ちで僕が泣き喚いていると、本当にコロコロと楽しそうに笑われます。
「人が苦しんでいるのってなんでこんなに楽しいんだろう!」
「それもよく知らない人じゃダメ。好きな人が辛そうにしている方が断然萌える!!」
(えっ!?好きな人?…ポアァ…♡(*゚▽゚*)♡←勘違い畜奴
(この方になら責め殺されてもいい♡)
大好きなご主人様にもっともっと喜んで頂きたくて、マゾは歯を食いしばって必死に頑張るのです。
早いものでもうすぐ奴隷契約一周年を迎えます。
次回の調教では身体にご主人様のお印を刻んで頂き、引き返すことのない専属奴隷への道を歩み始める事になります。
人生のどん底から救い上げて頂き、一気に高みへと上昇するのですから、絶対に後悔することはありません。
本日は、ご主人様と初めてお目にかかってから、ちょうど3年目の記念すべき日です。
ちょっとセンチメンタルなマゾヒストmugiでした。
お印を頂くまであと21日